TAVANNES WATCH Co(タバン時計会社)明治大正時代に人気を博した時計メーカー。「犬印TRUSTY」の刻印が有名。1895年、Henri Sandoz(アンリ・サンドス)によりTAVANNES(タバン)の地に創業。シュオブ兄弟が資本金を出資した会社として知られる。シュオブ兄弟のマーケットのおかげもあり、日本でも広く知られるメーカーとなり、大正時代では特に人気があったようで現在でもかなりの数が現存。世界でも有数の大規模工場と生産量を誇った。商館型のものでは、受けに「タヴアンヌ時計製造所」と刻印がされたものがある。高級品から普及品まで多岐にわたる老舗時計メーカー。Schwob Bros(Schwob Freres & Co)1862年に「ジョセフ・シュオブ」「セオドア・シュオブ」の兄弟によって創業、独自で製造販売。アメリカなどの販売権も取得、かなりの販売力を有していた。販売権を頼りにタバンは販売契約を締結、タバンの資本金をシュオブ兄弟商会が所有、シュオブ兄弟商会としてタバンも販売。タバンと混同されることがあるが別会社であり、親会社でもある。今回はお客様から修理依頼のあった時計のお話をご紹介したいと思います。実は先日、結構なお菓子と共にお手紙が届きました。そこに記された苗字に見覚えがあったのですがお名前が違っておりましたので、不思議に思い開封しお手紙を拝見させて頂きました。その手紙の差出人は、以前に修理をさせて頂いたお客様のお父様からのお手紙でした。そこには、その時計が祖父から父、そしてお父様へ受け継がれてきたことや、壊れた懐中時計の存在を息子さんに語られた際に修理してもらえるところを探してみると仰られた息子さんのこと、そして私の元で修理することになったことなどが記されてありました。そして、甦った懐中時計のことへの感謝の言葉がたくさん記されてありました。「仕事冥利に尽きる」とはこのことです。本当に嬉しい言葉ばかりで、この仕事をして本当に良かったと思いました。商館時計が好きで、その姿形、そして背景に魅了され、この世界へ入ったのですが、こうして喜んで頂けることへつながっていることを再認識させて頂きました。こちらとしましても大切な時計を託してくださって本当に感謝しかございません。壊れた時計を修理するという極々当たり前のことをさせて頂いただけなのですが、こうしてお礼を言って頂けるなんて本当に身に余る思いです。今回修理をさせて頂きました経緯ですが、息子さんから修理相談のご連絡を頂いたことがきっかけでした。実家へ帰省した際にお父様から祖父の形見の懐中時計だと聞かされたそうで、最寄りの時計店に修理の依頼をしたのですが…あまりない古い時計なので部品の調達も難しいと断られたとのことでした。修理できますでしょうかと仰られたので、もちろん可能ですよとお伝えしました。タバンの懐中時計とのことで大変ポピュラーなものですので、問題ないと判断しました。息子さん曰く、動いているところを見たいと、お父様が仰っていたとのことでしたので、断然力が入り、修理をさせて頂くこととなりました。▶︎「JPS仕上げ お客様依頼の小型のコロン商会 舞鶴印 高級仕様 商館時計」手元に届きました時計は、タバンの魚子模様の銀製ケースオープンフェイスの懐中時計でした。普通の時計屋さんからすれば「あまりない古い時計」となるでしょうね。我々からすれば当時のポピュラーな時計で見慣れているものでした。銀製ケースが酸化し長年保管されていたことを証するようにニエロ仕上げのような艶のあるなんとも言えない見事なブラックに変質しておりました。時計の状態はというと、巻き上げが空回りしており不動の状態でした。ムーブメントの状態は、穴石も数箇所割れがあり交換が必要な状態で、天真も折れている状態、ゼンマイの空回りはコハゼが外れている状態でした。この状態では確かに古い時計に慣れていない時計店では厳しいだろうと思いました。JPS仕上げムーブメント修理(不具合箇所の修理)オーバーホールムーブメント洗浄鏡面仕上げ輪列洗浄光沢仕上げ文字盤洗浄仕上げ時針分針秒針洗浄光沢仕上げetc.など諸々の作業を行いました。穴石の入れ替えや天真別作、コハゼの修理などを行うことで甦らせることができました。お父様のお手紙の中で、この時計はお父様の祖父の持ち物だったそうで、そしてお父様に引き継がれ、お父様が受け継いできた時計だったそうです。これまでは古くて壊れた懐中時計でしたが、これからは復活した古い懐中時計として引き継いでいきたいと思います。と書いてくださっていました。たかが時計、されど時計。ただ時間を知るためにある時計ですが、人が持つことによって新たな息吹が吹き込まれその人そのものになるかのような神聖なものに感じます。日本では昔の書物に同じような言い伝えがあり、長く使われてきた楽器や道具などには精霊が宿り付喪神(つくも神)又は九十九神になると言います。付喪神はイタズラをすると言いますので意味合いが違いますが。時計の場合は、精霊ではなく、持っていた人ですのでもっと神聖なものなんでしょうね。だからこそ、我々は一生懸命真剣に取り組まないといけないとつくづく感じます。この時計も神聖なものとしてこれからも受け継がれていくんでしょうね。そこに携わらせて頂けたことは本当に光栄なことで感謝しかございません。これからも励んでいかないとと心が引き締まります。▶︎「愛用している特別な仕上げを施したコロン商会 商館時計」▶︎「どうしても甦らせたい」時計店で断られたレッツ商会の商館時計時計店で断られてしまった時計でも諦めずにお気軽にご相談ください。掛け時計、置き時計、懐中時計、腕時計、どんな時計でも大歓迎です。▶︎商館時計に漂う明治時代の魅力商館時計などの100年以上経過した時計を本来の姿に甦らせてみませんか。誠心誠意ご対応させていただきます。