コロン商会(J.Colomb&Co)1875年に横浜居留地十番を拠点にフランス人のコロン兄弟が創業したスイス商館。コロン兄弟は、日瑞修好通商条約を締結したスイス公使 エメ・アンベールの甥であったとされている。コロン商会の登録商標として舞鶴印や獅子印などで有名。バカラを日本に初めて持ち込んだことで有名な大阪の時計商 安田源三郎がコロン商会を扱ったことでも知られており、様々な時計商がコロン商会の商館時計を扱っていた。そのことから今日でも普及品から高級品まで多くのコロン商会の商館時計が現存している。安田源三朗明治時代に活躍した大阪の時計商。時寶堂という屋号もあったことから時計の他に宝飾などを扱ったと思われ、バカラを日本に初めて持ち込んだ人物としても知られる。明治時代の広告には、時計小売所(時計小売店) 安田源吾、卸売 安田源三朗(安田源三朗商店)、と記載されてあります。主にコロン商会の商館時計を扱っていたと思われ、「g.yasuda」又は「yasouda」とムーブメントに刻まれたコロンの時計が現存している。また、コロン商会が安田源三朗宛に贈ったと思われる時計も現存しており、コロン商会との親密さがそのことからも窺えます。ご紹介する商館時計は、明治時代に安田源三朗が扱ったコロン商会の小型の鍵巻き時計。大きさは46.4mmと小型のもので大きい商館時計が多い中、腕時計くらいのサイズ感なので可愛らしく感じてしまいます。同じ鍵巻きでも実はケースが微妙に違いまして、それがその時計の個性として魅せてくれます。この鍵巻きから日本の携帯する時計は始まったのですが、鍵巻きは普段使いには敬遠されがちですが、使ってみるとリューズ巻きの時計となんら変わりなく使うことができます。この時計もよくお見せする為に持ち出すことが多いのですが、小振りで本当に扱いやすく、リューズ巻きと同様に扱うことができます。鍵巻きやリューズ巻きと言いましても、1日1回ゼンマイを巻く際、時刻合わせの際、に鍵かリューズの違いがあるだけで、それ以外は鍵やリューズに触ることがないので何ら変わりはありません。そして、この鍵巻き時代の特徴はブレゲ針。先端の鋭く長いブレゲ針が特徴です。メモリも分刻みになります。純白の琺瑯文字盤は、5時位置に割れがありますが、これもこの時計の魅力の一つと思えば気にならないものです。リューズがございませんが、首部分の先端の突起を押すことで裏蓋が開きます。ガラス越しに美しいムーブメントが見れるようになっています。ガラスには、中心に時刻合わせ用の穴と、外側にゼンマイを巻き上げる用の穴が2箇所空いています。写真を見てもらうとわかりますが、中心の時刻合わせの軸に鍵をさし回転させて時刻合わせを行います。直接軸を回すということになりますので時計への負担が少ないと言えます。そして、ゼンマイの部分についてもそうです。香箱の中心の軸に鍵をさし直接巻き上げるので、こちらも時計に対して負担がかからないと言えます。ということは鍵巻きは壊れにくい時計ということでもあります。しかしながら、古い商館時計ですので、テンプ周りやホゾや穴などの問題で壊れていることも多いというのも現実です。ホゾや穴の問題に関しまして、この当時のゼンマイは強いものが使われていることから、何らなの問題が生じ起こったものと考えられます。話が逸れてしまいましたが、ムーブメントのブリッジに「yasouda」と刻まれてあり、この名で安田源三朗の扱ったものであることがわかります。また地板には、「CH.HORMANN & Co NEUCHATEL」と刻まれてあり、CH.HORMANN社製ムーブメントであることもわかります。この小さな商館時計は、スイスからコロン商会のある横浜居留地十番に、そして大阪へ渡ってきたと思うと感慨深いものがあります。今から約140年も前に日本に渡ってきた時計ですが、今でも普段使いできる素晴らしい時計です。この時計のムーブメントは、軽くですが鏡面仕上げを施してあり、受けのエッジも磨きを入れておりますので角度を変えるとエッジもキラキラと光っております。ケースは魚子模様も薄くなっているので研磨をするほどに磨きをかけておらず、経年の状況を残してあります。商館時計は、明治時代の時計で、過去の天災や戦災で失われてしまっているもの多くあり、現存するものには限りがあるはずです。日本は高温多湿でもありますので、どうしてもそのままにしていると痛んでいってしまいます。今でもかなりの時を経てますので、これからは益々減ってくるとも考えられます。そう考えると大変希少な時計でもあります。日本の時計史の中で最初の時計ですので、これから残していかなくてはいけない時計です。お一人でも多く、商館時計に興味を持っていただけましたら嬉しい限りです。時計店で断られてしまった時計でも諦めずにお気軽にご相談ください。掛け時計、置き時計、懐中時計、腕時計、どんな時計でも大歓迎です。▶︎商館時計に漂う明治時代の魅力商館時計などや100年以上経過した時計を本来の姿に甦らせてみませんか。誠心誠意ご対応させていただきます。