VIVA!! 時の記念日古時計クラブ創立40周年を記念して「大阪くらしの今昔館」にて6月8日〜7月8日まで開催の特別展示イベント講演後のできごと『VIVA!! 時の記念日』展示イベントに伴って講演を行なったことは前回『「VIVA!! 時の記念日」展示イベント講演のこと』でお話しさせていただきました。今回は、講演後のできごとについてご紹介させていただきたいと思います。講演後に我々のもとにお越しくださった皆さんは時計についてのご相談でした。その時のお話を一部ご紹介したいと思います。ロシア兵から託された祖父の時計懐中時計をお持ちになられた方からは、お祖父様がロシア兵からいただいたという逸話をもつ懐中時計を見せてくださいました。それはコルテベール製のデジタル懐中時計でした。所謂、時間がデジタルで表示されたもので、時と分が針の代わりに数字が書かれたディスクが文字盤の下に内蔵されているもので、秒針はスモセコという時計です。IWCやゲデオン・トーメンなどでよく見受けられる時計でしたが、その時計はコルテベール製のもので珍しい時計でした。私自身腕時計として懐中時計をはめておりますが、その時計はコルテベールのレギュレーターですので、大変興味深く、「これもコルテベールですよ」と私の時計もお見せして楽しくお話させていただきました。動く姿を見ることができなかった母親の時計女性の方が真っ黒の懐中時計を見せてくださった。それはお父様が使っていた時計で亡くなられた後はお母様が大切にしていたとのこと、しかし動かず真っ黒になっていることから、形見なのでどうしても動かしたいとことで、とある某時計修理店に修理に出された。店長は「なんとかやってみます」と仰られたとのことで、修理が完了した際には動いていたので修理代を支払ったそうだ。しかしながらすぐに動かなくなり、改めて店長に預けたそうだか、しばらく経っても連絡がなく、結局は修理できない「動かすには部品を作らないといけない」と言われたそうです。真っ黒のケースも磨いて欲しい旨を伝えたが、「これは黒く塗られているので綺麗にできない」と言われ、修理代を支払ったものの結局は元の動かないままとなったそうで、お母様も気にされていたそうで、どうすることもできず月日は経ちお母様もお亡くなりになられたそうです。動く姿を見たがっていたお母様の思いを叶えたいと、その真っ黒の懐中時計を見せてくださいました。その時計は、精工舎の「ワールド(ウォルド)」という時計でした。ワールドは精工舎が初めて自社設計のムーブメントを搭載した時計で、文字盤も自社で焼き上げていたものです。「黒く塗られている」とされたケースは、単に銀無垢の酸化によるものでした。商館時計などには当たり前によくある状態です。恐らくその店長さんは古い懐中時計の知識が全くなく、ご存知なかったのだと思います。その時にムーブメントを拝見させていただくと「部品を作らないけない」という状況ではないと判断できたので、「大丈夫です、なおりますよ、動かすことできますよ」とお伝えすると大変喜んで涙ぐんでおられました。その場で大切な時計をお預かりしまして、後日作業をしたのですが、その内容に驚きました。恐らく修理されていないと考えられる状態で、もし修理をしたとするなら考えられないような状態でした。ヒゲ持にヒゲゼンマイが取り付けられているのですが、その取り付け位置が大きく違っており、ヒゲも曲がり変形しているような状態でした。これでは時刻はあるわけがありません。その他にも色々とありました。これが元々の姿です。古い懐中時計を知っていらっしゃる方からすれば黒く塗られていないことはすぐにわかると思います。戦時中、実際に黒く塗った時計なども確かにありますが、例えそうであっても綺麗にすることは全然可能です。そして、こちらが修理完了後の状態です。当然のことながら銀製の専売側ですので研磨すれば綺麗にすることができます。ムーブメントの摩耗による劣化などで調整や修正は必要でしたが別作をしなくては動かないほどの状態ではございませんでした。この時計はお父様のものでお母様が大切にされていたもの、そしてその思いを受け継がれて私の元へ縁あって辿り着いた時計です。私として何かできないものかと思い、所有していた破損していた服部時計店の化粧箱を再利用することにしました。蓋の金具がなかったので取り付け、時計がおさまる内部がなかったので作りました。その際に、ご仏前にお供えされた際にお父様お母様から見て、時計が正面を向くよう環の位置を逆におさめれるように作り時計をおさめました。実際に納品させていただいたのですが、本当に喜んでくださいまして、こちらとしても冥利につきます。お母様に見せたかったと仰っていました。お話ししておりますと、お父様が勤続記念で贈られ掛けて使用していた陶器のクオーツの掛時計も動かなくなったので、それもなおしてほしいとのことになり、その場でその時計もお預かりすることになりした。その時計も修理完了しまして無事に納品させていただきました。本当に喜んでくださいまして感謝してくださったのですが、こちらとしましても貴重な思いある時計に携わらせていただいたことに感謝です。講演をしたことで出会えた方々です。本当にありがたいなと思いました。古い時計を扱うこの仕事をしていて本当に思うのですが、やはりその時計をはじめに購入し大事にされていた方、そしてその後引き継がれた方々、そして現在の所有者とあるわけですが、その皆様に喜んでいただけるような仕事をしたいと常に思っているのですが、今回の仕事はそれを改めて実感できた仕事でした。その他、講演後に別フロアで声を掛けてくださった方で『時計というのは主人と生涯を共にする』と改めて感じさせていただいた時計がありました。その時計のお話は次回にさせていただこうと思います。大阪くらしの今昔館〒530-0041大阪府大阪市北区天神橋6丁目4−20 住まい情報センタービル 8階大阪市立住まいのミュージアム「大阪くらしの今昔館」Tel 06-6242-1170大阪くらしの今昔館でも告知していただいております。▶︎大阪くらしの今昔館 による告知『時の記念日展示イベント「VIVA!!時の記念日」開催します!』はこちら!特別展示イベント 『VIVA!! 時の記念日』【開催期間】6月8日(土)〜7月8日(月)開館時間 午前10時〜午後5時休館日 火曜日(祝日の場合は開館)8階常設展示では、川口居留地にあったファブルブラント商会の大阪店の模型があり、そのフロアの展示スペースで、ファブルブラント商会の商館時計や大阪時計商の商館時計、関連した懐中時計が一斉に展示されます。大阪にちなんだ時計商の時計がここまで展示されることがないので、大変見どころのある展示になっております。また、8階ロビーの展示スペースでは『時の記念日』にちなんだ面白い置時計やポスター、腕時計なども展示されます。展示に際し、QRコードのクイズもあり、その場で展示物をみながら学べるようにもなっておりますので、是非とも楽しんでいただければと思っております。9日(日)には、説明を聞きながら実際に商館時計を手に取って体験できるワークショップも行いますので、明治時代の商館時計をご堪能いただけます。そして、10日(月)には、『商館時計の魅力と修理の面白さ 』の講演もあります。講演は、中休憩のある二部構成となっており、一部『商館時計の魅力と楽しみ方 』では、商館時計研究で大変有名な私も大変お世話になっておりますメンバーの方が登壇されます。商館時計がお好きな方ならご存知の方です。そして、二部『時計修理の面白さ』では、恥ずかしながら私がお話しをさせていただくことになっております。専門的なことではなく、私の体験をもとに商館時計の楽しさなどを気楽に聞いていただけるような内容にしようと思っております。もし、お時間があればお立ち寄りいただけますと嬉しいです。私の所属する古時計クラブは、2024年6月10日の『時の記念日』で創立40周年を迎えます。古時計クラブ / OWCC(Old Watch & Clock Club)2ヶ月に1回日曜日に大阪市内で開催※古時計クラブでは新メンバーを募集しております。時計好きなら大歓迎です。▶︎「愛用している特別な仕上げを施したコロン商会 商館時計」はこちら▶︎「JPS仕上げ お客様依頼の小型のコロン商会 舞鶴印 高級仕様 商館時計」はこちら商館時計の魅力をご自身で感じてみませんか。100年以上前の時計とは思えないほど、洗練されていて上品な時計です。商館時計のオーバーホールや修理のことはJPSへお気軽にご相談ください。