MOERIS(モリス)スイスのサンティミエに1893年にAlbert Jeanneret(アルバート・ジャンネレ)とFritz Moeri(フレッツ・モエリ)によって創業されたMoeri & Jeanneretが前進とされる。元々、フレッツ・モエリがアルバート・ジャンネレの義兄弟であるJules-Frédéric Jeanneret(ジュールフレデリック・ジャンネレ)の元に時計師の見習いとして時計を学んでいた経緯がある。アルバート・ジャンネレの急死もあり、1930年にFabrique d'Horlogerie Fritz Moeri(ファブリケ・ドルロジェリー・フリッツ・モエリ)として知られるように。MOERISブランドの誕生につながる。1892年にワンプッシュクロノグラフの特許を取得していたが、幅広いユーザーにシンプルで高品質な時計を提供したいという思いから新たな特許を取得するなど幾多の特許を取得、展示会において幾多の賞を受賞している。創業者フリッツ・モエリは、1935年にこの世を去り息子達が引き継ぐことなるが、1970年にティソにより買収されMOERISブランドは終焉を迎える(MOERISの商標は1901年に登録している)。1973年頃、レプリカという名目で懐中時計が製造されている。1966年にはジェームス・ボンドの時計としても注目された。MOREIS(モリス)の大変珍しいレギュレーターというモデルです。レギュレーターと一般的に言われますが、日本では別剣支という名称で知られてもいます。別剣支は、「別々の剣(針)がついた干支(文字盤)」という意味ですね。昔は文字盤のことを干支(えと)と呼んでいました。金属文字盤のことは金干支(かなえと)と言います。モリスは、シンプルで高品質な時計の提供を目指した経緯もあり、日本では大変ポピュラーな時計として知られ今でも多くの懐中時計を見つけることができます。精工舎では、俗にモリス型と言われるモデルなどもありますので、モリスはお手本としてムーブメント開発にも活用されていたと思われます。フリッツ・モエリの思いは日本にもしっかり伝わっていたということですね。別剣支の文字盤です。12時位置に時間を示すダイアルがあり、6時位置は通常の秒針、中心は分針のみとなっております。青焼きの針も大変綺麗な状態で美しい輝きを放っております。懐中時計などに詳しい方であれば、この時計、精工舎EMPIRE別剣支に大変よく似ていることにお気付きだと思います。そうです。こちらが私が過去に扱ったEMPIRE別剣支ですが、本当によく似ており、文字盤の「MOERIS」を「EMPIRE」と置き換えただけという感じです。そして、こちらは海外の方がお持ちのパラショック付きの別剣支ですが、海外でもこのモデルはこの文字盤デザインで販売されていたようです。EMPIRE別剣支とMOERIS別剣支の関係性など詳細は不明ですが、メーカー的にも当時の技術的にもフリッツ・モエリの方が先を行っていましたので、モリス型と同様に精工舎はお手本にしたのかも知れませんね。ケースは、ニッケルメッキのもので、ガラス風防ベゼルと裏蓋ベゼルがローレットでコインエッジのようになっており、裏蓋には模様が彫られてあります。そして、リューズ首元が台形のようになっており、それの伴い環も台形で首元環同様に俗にいうエングレービングで彫となったものです。このケースですが、実は精工舎のEMPIREにも同様のものがあります。こちらなのですが、精工舎EMPIRE「ローレット側裏彫」というクローム側ケースのようです。こちらもこのMOERIS別剣支と同型ですね。MOERISのケース裏蓋裏には精工舎の刻印は一切なくシリアルのみで詳細は本当に分かりません。ケースを入れ替えたものなのか不明です。ムーブメントは、「16B」と言われるMOERIS15石ムーブメントで綺麗なムーブメントです。このムーブメントは所謂巻真が1本スッと伸びたものではなく、四つバネのようにリューズ部分と分かれている機構のものです。もちろん四つバネではないので、オシドリもありオシドリネジでリューズを抜きます。四つバネのムーブメント側と似た機構がムーブメント側にありますが巻真部は2つに別れており、リューズ部分をオシドリで固定するという形状のものです。JPS仕上げムーブメント修理(不具合箇所の修理)オーバーホールケース洗浄研磨仕上げムーブメント洗浄仕上げ文字盤汚れ除去洗浄仕上げ時針分針秒針洗浄仕上げetc.の作業を行いました。精工舎EMPIRE別剣支もそうですが、金属文字盤なので汚れや傷など状態の悪いものが比較的多いのですが、このMOERISも例外でなく、金属文字盤ですので汚れなどがございました。綿棒で出来うる限り汚れを丁寧に落としましたので綺麗な状態になっております。分針のインデックス部とそれ以外の中心部分が写真ではシルバーのように見えていると思います。この中心部分はヘアラインの光沢仕上げになっていますので角度で輝き方が変わるようになっております。秒針のスモールセコンドと時針のダイヤル、分のインデックスは同じ艶消しの仕上げになっています。針関係も酸化し黒ずんでいましたが青焼きの綺麗な光沢を放つようになりました。ケースのリューズ部や環の彫なども相まってエレガントさも感じさせる時計に仕上がりました。レギュレーターは、俗説的には時計師が活用した時計とも言われています。時間を見るのに間違えないためとされていますが、慣れないと見づらいかもしれません。私自身普段活用している時計に商館時計がありますが、実はCORTEBERT(コルテベール)の別剣支も長く愛用しておりまして、初めの頃は慣れなかった経験があったのですが、今では見易い時計に感じて愛用しております。腕時計では、ルイエラールやクロノスイスが昔からレギュレーターのモデルを出しておりますのでご存じの方も多いかと思いますし、他メーカーでもよく目にすると思いますが、懐中時計のレギュレーターとなると数は極端に少なくなります。改造され作られたようなモデルなどではオメガなど目にしますが、明らかに文字盤も針も変わっていて景色がなっておりません。懐中時計時代のオリジナルのレギュレーター・別剣支は、大変珍しいのでコレクションするには良いかもしれませんね。このMOERISのレギュレーター・別剣支も見かけることの少ない珍しいものとなります。MOERIS 15石 別剣支 レギュレーター ローレット側裏彫 懐中時計横幅:41.6mm縦幅:46.1mm(リューズまで)/50.8mm(環まで)厚み:9.6mm重さ:41.00gSOLD OUT派手ではなくシンプルで高品質、広くユーザーに活用してほしいという創業者フリッツ・モエリの思いの詰まったMOERISの大変珍しいレギュレーター・別剣支の懐中時計をご紹介しました。▶︎コロン商会の「JPS仕上げを施した明治時代の商館時計」はこちら懐中時計のオーバーホールや修理のことならJPSへご相談ください。