コロン商会(J.Colomb&Co)1875年に横浜居留地十番を拠点にフランス人のコロン兄弟が創業したスイス商館。コロン商館の登録商標として舞鶴印や獅子印などで有名。バカラを日本に初めて持ち込んだことで有名な大阪の時計商 安田源三郎がコロン商会を扱ったことでも知られている。D.Takagni(高木大五郎)東京日本橋横田町二丁目で商いをしていた時計商。明治30年(1897年)の居住者資料に「高木大五郎 時計自転車」という表記が見受けられる。コロン商会との取引があったと思われ、そのムーブメントには「D.Takagni」と名前が刻印されている。その他、2番車3番車4番車ガンギ車の受けに金無垢のシャトンで取り付けられたローズカットの大粒ルビーが高木大五郎の最大の特徴でもある。こちらが希少な高木大五郎商店のコロン商会 商館時計、「大粒のローズカットルビー」が大変特徴的な時計です。商館時計には様々なものがありますが、このようなタイプは高木大五郎だけではないでしょうか。実際に他にも伏石でカットルビーが施されたものはありますが、ここまで大きくなく、シャトンもビス止めも1本で止められていたりします。まして2番車にはございません。明治の日本人はこの時計を見て驚いたものと思われます。そして、さぞまわりに自慢したのでしょうね。「D.Takagni」の刻印もまた面白いですね。本来なら「D .Takagi」と刻印するべきところが、「D.Takagni」となっています。フランス語的な発音からこの表記になっているのではないでしょうか。この頃の記述などではこのようなことがよくあります。▶︎「愛用している特別な仕上げを施したコロン商会 商館時計」今回はこの高木大五郎のコロン商会 商館時計をご紹介したいと思います。とは申しましても普通の商館時計と何も変わりはございません。JPS仕上げムーブメント修理(不具合箇所の修理)オーバーホールケース研磨洗浄仕上げムーブメント洗浄鏡面仕上げ輪列洗浄鏡面仕上げ文字盤洗浄仕上げ時針分針秒針洗浄光沢仕上げetc.と諸々の作業を行いました。お話ししました通りこの時計の最大の特徴はムーブメントですので、入念にかなりの回数の洗浄を行い酸化を取り除き、鏡面に仕上げてあります。写真ではこの輝きをお見せできず残念です。ムーブメント表面にはダマスキン加工、地板にはペルラージュ加工が施されてあり、大変美しいムーブメントです。ハンターケースですので、裏蓋はリューズではなくこじ開けですので、開けるとガラス中蓋越しに楽しむことができます。軽く爪で開きます。ムーブメントは鏡面に仕上げてありますので、角度を変えたりして見ていただければ光り輝く美しいムーブメントを堪能していただけます。この手のムーブメントは、白っぽいものではなく、ややゴールドっぽい色合いのムーブメントですので、光っていると本当に綺麗です。表蓋はリューズを押すことで開きますが、表蓋裏には、コロン商会の登録商標である「獅子印 J.C & Co」と「コロン」の刻印があります。カタカナ表記というのもまた明治時代の商館時計ならではの特徴ですね。もちろん銀無垢ハンターケースですので、「0,800」とホールマークの刻印が上と左右に打たれてあります。裏蓋にも、商標以外同様の刻印が見受けられます。ケースは、魚子(ななこ)模様もしっかり残っております。サイドのコインエッジも同様にしっかりと残っっており大きな凹みなどなく大変状態は良いです。約130年前の時計です。それだけの年月を考えるとこの状態で存在しているのは本当に奇跡的なこととも言えます。実際に酸化を落とし、研磨を行い磨きをかけてありますので大変綺麗な輝きを放っております。商館時計ならではの石付き装飾針もそこそこ状態がよく、石も欠損しておりません。分針が角度の違いで黒く写っておりますが、角度を変えれば光っております。分針の先部分がハゲがありますが綺麗な状態です。いつもお話ししておりますが商館時計は本当に上品な時計です。日本において初めて携帯する時計としてやってきた時計です。当時の幕末日本において、諸外国の方々がたくさん日本にやってきました。彼らは日本人と商いを行い貿易をしていましたが、日本を植民地化しようという思いも背景にあったのも紛れもない事実です。当時の世界地図を見れば一目瞭然で、ほとんどが欧米列強により植民地化されており、極東日本も例外ではなく、幕末の志士たちはその事態を免れるべく奔走していたような時代です。そんな中、スイスは例外でした。自国の時計産業を広め日本で商いをする貿易をするという観点のみで来日していた国です。当然ながら外貨を稼ぐべく銃の販売は行われていました。今年は、スイスとの国交樹立 日瑞修好通商条約締結から160年の年です。1864年2月6日にスイス公使 エメ・アンベールと第14代将軍 徳川家茂との間で締結されました。その前から商館時計の販売を模索していたのですが、当時の日本は不定時法ですので売れるわけもなく、大変苦労をされました。その転機は鉄道が敷かれたことによります。現代の定時法が施行され売れるようになるのですが、それでも時計塔の設置や並大抵のことではなかったと推察されます。その苦労が現代の日本の時計業界につながっていることは紛れもない事実ですが、そのことをあまり知られていないという現実は悲しい限りです。商館時計というスタイルを生み出した一人のスイス人時計師、そしてそのスタイルを取り入れ販売した親友と言われたスイス人時計商、それは脈々と彼らによって受け継がれていったわけです。そのスタイル、日本仕様で輸入された商館時計のこの姿は、やがて精工舎のタイムキーパーにも踏襲され50年という長きにわたり続いていった完成形であったわけです。このこともまたあまり知られていない時計史かもしれません。日本の時計史の原点とも言うべき商館時計の魅力を一人でも多くの方に感じていただけると嬉しい限りです。▶︎商館時計に漂う明治時代の魅力コロン商会 高木大五郎 19石 大粒カットルビー ハンター 商館時計横幅:71.4mm(リューズまで)/ 79.9mm(環まで)縦幅:54.9mm厚み:16.0mm重さ:124.01g価格 99,000円(保証付) SOLD OUT商館時計は手をかけてやればやるほど良い時計になります。明治時代の時計にしかない上品な魅力が商館時計にはありますので多くの方に知っていただけると嬉しく思います。▶︎「JPS仕上げ お客様依頼の小型のコロン商会 舞鶴印 高級仕様 商館時計」はこちら商館時計ならJPSにお任せください。JPS仕上げにより甦りますので、お気軽にご相談ください。